皮膜特性
VS/MR(AlTi系多層)
「VS/MR皮膜」は、AlTiとTiSiのナノ積層膜であり、耐欠損性・高硬度・耐摩耗性に優れた皮膜です。
ドリルのコーティング用に開発された膜ですが、近年はインサートやエンドミルなどにも適用される例が増えています。
推奨アプリケーション
・超硬ドリル
・超硬エンドミル
・ターニングインサート
・ミリングインサート
・CBNインサート
適用事例
従来、切削工具には、低コストのハイス工具が一般的に使用されていました。しかし、近年になると被削材の高硬度化や加工の高精度化などが進み、これに対応すべく超硬合金を母材とする超硬工具の使用が増加しています。
超硬工具は高速切削、加工精度、仕上げ面の平滑さといった点でハイス工具よりも優れていますが、硬度が高いために欠損しやすいというデメリットもあります。神戸製鋼所の「VS/MR皮膜」は、この問題に対するソリューションとして開発された皮膜であり、AlTiとTiSiを組み合わせたナノ積層膜によって高い耐欠損性を発揮します。さらに、耐酸化性や高硬度といった面でも優れた性能を有しています。
ドリル
超硬ドリルに「VS/MR皮膜」をコーティングし、合金鋼(SCM440)を加工した結果を比較。他の皮膜より寿命が向上したほか、穴加工では3000個以上を達成しました。
インサート
ミーリングインサートを用いて40Cr材料を切削する加工テストでも、高い性能を得ることができました。