皮膜特性
V(TiAlN)
「TiAlN皮膜」は、TiN皮膜の後に開発された皮膜であり、硬さや耐酸化性が極めて高いという特性があります。
近年では、神戸製鋼所が開発したSFC蒸発源によって「TiAlN皮膜」の厚膜化が可能となり、火力発電のタービンのような過酷な環境下のアプリケーションにも適用できるようになりました。
推奨アプリケーション
・ブレード
・超硬ドリル
・超硬エンドミル
・ターニングインサート
・ミリングインサート
適用事例
火力発電向けの蒸気タービン
蒸気を発生させるボイラやHRSG(排熱回収ボイラ)の伝熱管では、内面に酸化物(スケール)が付着します。発電プラントの起動・停止時などにこのスケールが剥離すると、蒸気の流れに乗って高速で飛来し、タービンの動翼部などが損傷を受けます。
(この現象は「SPE( Solid Particle Erosion):固体粒子侵食」と呼ばれます)
神戸製鋼所では、この問題への対策として「TiAlN皮膜」によるコーティング技術を開発。タービン動翼部の耐エロージョン性を大幅に改善することで、SPEによる損傷を防ぎ、安全で安定した電力供給に貢献しています。
~火力発電の起動停止回数が多い理由について~
近年、再生エネルギーの普及が進んでいますが、これらのエネルギーは気象条件の影響を受けやすいという側面があります。その点、火力発電は気象条件の影響を受けづらく、発電量を柔軟に変えることが可能。そのため、再生エネルギーの発電量と電力需要のミスマッチを解消する電源として用いられており、需給バランスの変動に合わせて頻繁に発電のオン・オフが繰り返されます。